文教大学広報マーケティング室の広報プランナーが毎回、キャンパスの研究室等を訪ね、そこの教職員の専門分野や研究テーマを伺いながら、その方の人柄を中心に紹介します。またその名の通り物々交換もします。


by bunkyo_warashibe
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No.002 教育学部 会沢信彦 准教授【教育相談・生徒指導・カウンセリング】

年末年始で間隔があきましたが、「わらしべ広報プランナー研究室訪問記」の第2回はこの人です。

c0223443_1232026.jpg会沢 信彦 准教授
(あいざわ のぶひこ)


【所属】教育学部 心理教育課程

【専門領域】教育相談・生徒指導
        ・カウンセリング



◎専門領域は、「教育相談・生徒指導・カウンセリング」

会沢先生の専門領域の名称は、とても長い。
「学内では『教育心理学』なども担当科目になっているが、自分の専門としては、学問そのものとしての心理学とは考えていない。心理学を生かした教育ということで、『教育相談・生徒指導・カウンセリング』と言っている。だから、カウンセリングといっても人間科学部の臨床心理学科で研究・実践されているようなものではなく、あくまで教育に生かすためのカウンセリングである。」とその理由を語る会沢先生。

003.gif 「では、中学生から見ると『生徒指導』の先生の先生ということになりますね。」
と質問すると、人間科学部のカウンセリングとの違いについて、次のように話してくれた。

「人間科学部で実践されているのは、心理臨床という言い方をされているが、『心のケア』と言ってよい。私としては、むしろ『心の教育』であって、現場としては学校になる。所属が心理教育課程ということもあって、幼児教育・保育にも関心を寄せている。カウンセリングの本質は援助的コミュニケーションであり、普段のコミュニケーション自体が大事なのだと考えている。このことは、授業でもよく言っている。

心理臨床は主として治療を目的に週1回とかの頻度で面接を行うのに対して、教師や保育士が行うカウンセリングは時と場所を選ばず、普段のコミュニケーションが大切なのである。」
と表情は温和だが、熱を込めて弁じてくれた。


◎最近の研究テーマは、「アドラー心理学」

会沢先生は、この日のインタビューのために簡単なレジュメを用意してくれた。
「前回(椎野先生)のわらしべブログを参考にまとめたのだけどね。」
と、とても親切な方である。

これを見ながら、最近の研究テーマについてお聞きすると、「アドラー心理学」についてお話ししてくれた。

c0223443_12125673.jpgアルフレッド・アドラー
(Alfred Adler, 1870.2.7 – 1937.5.28)
オーストリアの精神科医、心理学者。
個人心理学(Individual Psychology)の創始者。
「アドラー心理学」は、彼の名に因む。


「日本ではまだ馴染みが薄いが、アメリカ・カナダあたりでは、かなり盛んな心理学である。アドラーは最初、フロイトと共に精神分析を研究していたが、後にフロイトと袂を分かち、個人心理学(アドラー心理学)の分野を創始した。

フロイトの精神分析が人間の過去や無意識に影響されると説いたのに対して、アドラーは、人間の行動には目的があると説いた。極端に言うと、問題や病理があっても、人間は、元々何かしらプラスの目的に向かって動いている存在なんだという考え方である。フロイトは人間のネガティブな部分に焦点を当てたのに対して、アドラーは、むしろポジティブな部分に焦点を当てている人なのである。」
と、アドラーについて説明してくれた。

005.gif 「このレジュメを見ると、先生は、日本教育心理学会第51回総会(2009年9月、静岡大学)において自主シンポジウム『アドラー心理学による子ども・家庭支援』を企画されていますが、具体的にはどのようなものなのでしょうか。」
と伺うと、

c0223443_12163751.jpg「私がシンポジウムの企画と司会をして、シンポジストとして児童相談所職員、元小学校教諭、大学教員の3名の方をお招きした。

具体的に、アドラー心理学をどのように実践していたかというと、小学校の先生だった方は、クラス会議において、クラスで何か問題が起こったときに、子どもたちに、自分たちで話し合って、解決させるという方法をとっている。アドラーが目指す『共同体感覚』というものがあるが、自分は自分が所属している共同体の一員なんだと、クラスならばクラスの一員なんだ、という感覚のことである。

また、所属感だけでなく、もう少し進歩すると、自分はクラスのために何かできることがある、役に立つことがあるという貢献感に気づくようになる。おそらく、そういうクラスは、お互いに子どもたちが、金子みすずの『みんなちがってみんないい』ではないが、みんなが認め合えるような相互尊敬の関係で成り立っている。

アドラーはそういう社会を造りたいと考えていた。つまり、アドラー心理学における教育やカウンセリングの目標は『共同体感覚』を育てることなのである。

このことは、従来から日本の教育現場においても実践されてきていることである。それに別な側面から光を当ててくれているのがアドラー心理学だと考えている。」
と、とても具体的に、アドラー心理学のシンポジウムについて話してくれた。

034.gif 現在は、成果主義偏重に見られるように個人の自立が大事だと考えられているが、最近、会社でも社内運動会が復活しているように、そういう点では、アドラーでいう共同体感覚や協力、チームワークというものが見直されてきている。大不況の世相に合った望ましい考え方だと言える。

018.gif 「共同体感覚はいわゆるコーチングと似た考え方ですよね。」
と質問すると、

「今、世の中ではカウンセリング人気はやや下火であるのに対して、ビジネスの世界では、特にコーチングが伸びている。しかし、この両者のやっていることは、実はそれほど違わない。」とうなずいて、

「カウンセリングの中でも、私の恩師の1人である國分康孝氏(東京成徳大学副学長、日本教育カウンセリング学会理事長)は、心理臨床でいうカウンセリングを『治すカウンセリング』、教育でいうカウンセリングを『育てるカウンセリング』と言っているが、その『育てるカウンセリング』はコーチングとほぼ同じと考えて間違いない。」とさらに付け加えてくれた。

c0223443_12191027.jpg会沢先生は、講義・研究・学生指導・校務のほかに、所属する学会も多数に上る。年齢的にも所属学会の役職が持ち回って、現在、「事務局長」という名のポストだけでも3つもあるという。その中でも日本カウンセリング学会(会員数約5,500名)第43回大会が越谷校舎において今年の9月に開催される予定である。
034.gif ここでも、会沢先生は別の忙しい顔を持つ。

また、本学の生涯学習センター主催の「子育て支援カウンセリング講座」でも他の講師と共に企画運営および講義を担当しているが、現役の保育士や幼稚園教諭を対象に実施し、毎年80名前後の参加があり、その講義内容は、受講者の満足度も極めて高い。


c0223443_12202444.jpg◎お宝を見せてください!

「私のお宝は『トムとジェリーのぬいぐるみ』

前任校(函館大学)に赴任したときに、家の目の前にみちのく銀行があって、口座開設キャンペーンの抽選に当選して、いただいたものである。みちのく銀行のあべさんが持って来てくれた。」
と、うれしそうに話してくれた。

034.gif 現在は研究室のロッカーの上にあるこの大きなぬいぐるみ、学生諸君も一見の価値ありである。



c0223443_12252018.jpg◎わらしべの交換

最後に、わらしべの交換の儀式になった。

前回、【将棋の扇子】が
【見ることの社会学定規】に換わった。

そして、今回は、会沢先生からは、これを戴いた。


c0223443_12275235.jpg函館税関マスコット
「カスタム君」ストラップ


「これも前任校ネタだが、講演で函館税関に行ったときの記念に戴いたものである。」

034.gif 茨城出身の会沢先生だが、前任校での思いも大切にされている研究室だった。


このカスタム君ストラップがどんなものに化けるか、
次回も乞うご期待です。

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by bunkyo_warashibe | 2010-01-12 12:54 | 教育学部