文教大学広報マーケティング室の広報プランナーが毎回、キャンパスの研究室等を訪ね、そこの教職員の専門分野や研究テーマを伺いながら、その方の人柄を中心に紹介します。またその名の通り物々交換もします。


by bunkyo_warashibe
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No.003 情報学部 石田晴美 准教授【会計学・公会計・行政評価】

入試の季節となりましたが、その忙しい最中、「わらしべ広報プランナー研究室訪問記」の第3回に登場していただいたのは、この人です。

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石田 晴美 准教授
(いしだ はるみ)


【所属】情報学部 経営情報学科

【専門領域】会計学・公会計
        ・行政評価





◎ゼミ生の合格が宝だ!

「これが私の宝です!」
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1月28日、湘南キャンパス情報学部棟の石田先生(以下、石田)の研究室に入るなり、ドアに貼られた2枚の紙を指さして、石田はいう。このコーナー恒例の「お宝の紹介」は、インタビューの最後に聞こうと思っていた筆者は、この展開に度肝を抜かれた。

「私の夢は、『祝合格』の貼り紙をこの扉いっぱいにすることです。」

034.gif 石田ゼミ4年生が、昨年8月に行われた税理士試験の簿記論に合格。また、2年前に卒業したゼミ生が、昨年12月に行われた公認会計士短答試験に合格したのだ。いずれも、合格率9%台の難関である。

石田が目を輝かせて語る。

「学生が、会計士・税理士試験に挑戦すると決めたら、めいっぱい応援します。
私もかつて受験生だったので、受験生の気持ちがわかります。少しでも心の支えになれたらと思います。」


034.gif 石田晴美准教授は、明治大学法学部を卒業後証券会社に就職、その後、一念発起して退職、猛勉強の末、公認会計士試験に合格。監査法人を経て、横浜国立大学大学院で博士(経営学)を取得、文教大学は5年目で、「財務会計論」を講じるほか、ゼミナールも担当する。

「学生には、公認会計士や税理士などの会計資格の紹介を通して次のことを伝えている。
人生はいくつになってもやり直しがきく。会計士・税理士になるための勉強は、誰でも(東大生でも)大学に入って初めて学ぶことなのでまさにフレッシュスタートができる。受かったら、一生自信を持って生きていける。人生80年。2~3年必死に勉強してもいいんじゃないか、ってね。」


027.gif この話を聞いていて、かつて英国の「鉄の宰相」と言われたサッチャー元首相の言葉を思い出した。
 
 教師というのは、ある種特別の才能を持ち合わせている人がなるものである


サッチャー元首相が、この言葉をどのような意味で語ったか定かではない。
ただ、推測するに、サッチャー元首相の考える教師とは、単に教えることが好きで得意というだけでなく、教え子に対し、情熱を伝播させ、やる気を起こさせ、一緒に悩み悲しむ「共感力」を長く維持させる能力を持っている人々を指しているのではなかろうか。
その意味で、石田は、元々は会計畑にいたとしても本質的に「教師」なのだと思った。

司法試験にしろ、公認会計士試験にしろ、現在は、資格を持っているだけで食べていける時代は終わっている。博士号にしてもそうだが、取得してもバラ色の生活は保障されているわけではなく、ある種の「最大限の覚悟」が必要なことには、留意する必要がある。
しかし、石田の話を聞いていると、挑戦する覚悟がある学生には、全力で支え、喜びや悲しみを分かち合うから、「どうだ、人生に一度くらい、死に物狂いで挑戦してみろよ」と語っているように感じた。


c0223443_13434589.jpg◎公会計ってなんだ?

018.gif 石田先生の専門分野について分かりやすく教えてください。

「会計学のうち、公会計という国や地方自治体の会計を扱う分野を専門としています。
公会計には、さらに行政の業績(成果)を扱う行政評価という分野があり、そこに強い関心があります。」



018.gif 行政評価とは聞きなれない言葉ですが、具体的にはどのようなものですか。

「例えば、ある自治体が老人医療費削減のために、「骨粗鬆症(こつそしょうしょう)」予防を目的とする二つの事業を考えているとしましょう。第1の事業は、「骨粗鬆症予防のための有名医師による講演会」の実施、第2の事業は、各地区の公民館を1年間にわたって巡回し体操教室を開く。同じ予算規模だったら、どちらを選択しますか?」


042.gif にわかにはわかりかねたので、あえて無言を通していると、

「この場合、本来のゴール(目的)は、骨粗鬆症の削減にどれだけ実質的に寄与できるかということです。どちらの事業もやってみないとわからない。けれど、骨粗鬆症の患者数を3年後に1,000人減少させるという具体的な成果目標を設定すれば、目標を達成できない、あるいは、このままでは達成できそうにない時に事業を変更する必要が出てきますよね。これが行政評価なんです。従来は、予算(インプット)ベース、あるいは、来場者数のような産出量(アウトプット)ベースでしか、行政サービスの業績を測定してこなかった。来場者数などは自治会・町内会等の組織に動員をかければ増やすことができますよね。しかし、目標値を成果(アウトカム)に設定したら、ごまかしようがないんです。何年か事業を実施して成果があがらなければ、事業そのものをやめるという選択肢が出てきます。このように行政が実施する事業ごとに、どのような成果を望み、その達成をどのように測定すると次のより良い事業につながるかを考えるのが行政評価なんです。」


018.gif なるほど、事業仕分けが論議になっている現在ほど、行政評価という視点がクローズアップされるかもしれないですね。端的にいうと、行政評価は「評価の指標」を作ることですか?

「そうではないのです。目標値をどのように設定するか、効果を測定する指標を何にするかももちろん行政評価の一部ですが、「現場の人が本気を出させるための仕組み」をどう作るか?ということがもっとも重要だと考えます。何といっても、現場で働く公務員自身が知恵を絞って、その力を最大限発揮することなくして行政の質は高められないですからね。現場の職員が挑戦的な目標、いいかえれば、自分で自分の首をしめるような高い目標を自ら設定させるための仕組みが求められているのです。そのために首長や管理職にどのようなリーダーシップが必要なのか、モチベーション維持には何が効果的なのか。限られた資源を効率的かつ有効に使うためにはどんな仕組みが必要か、そんなことを考えるのが行政評価です。組織の風通しのよいことも必要条件でしょうね。」


企業の場合は、売り上げや利益がでることが中期的には社会に評価された証である。一方で、自治体は、これまでは、当初予算をどれだけ使い切るとか、予算をどこからか分捕ってくるということが評価されてきた。何のためにやっているのかということを常に考えて、自治体の仕事の「PDCAサイクル※」を確立し、行政サービスの質を高めていくことが求められているってことだと筆者は思った。
最後に、研究上の夢を聞いてみた。

「地方自治体の職員と住民の双方が幸せになるためのツールとしての行政評価の発展に、少しでも役に立てたら嬉しいですね」

※PDCAサイクル
計画(Plan)、実行(Do)、評価(Check)、改善(Act)というプロセスを回すことによって、継続的な業務改善活動を推進するマネジメントサイクルのこと。現在では製造業だけでなく、あらゆる業種にこの考え方が浸透しつつある。



◎わらしべもやっぱり受験ネタだった

そして、いよいよ「わらしべの交換」です。

「これも受験ネタですが、これです。」

c0223443_1348172.jpg神奈川県鎌倉市にある学問の神様として知られる菅原道真公ゆかりの荏柄天神社の合格祈願鉛筆です。

この合格祈願鉛筆で勉強して受かった人が出始めていることを考えるとかなりの御利益がありそうである。



前回の会沢先生(教育学部)の「カスタム君」ストラップが由緒ある合格祈願鉛筆になりました。


さて、次のわらしべは何か? 乞うご期待です。
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by bunkyo_warashibe | 2010-02-08 14:00 | 情報学部