文教大学広報マーケティング室の広報プランナーが毎回、キャンパスの研究室等を訪ね、そこの教職員の専門分野や研究テーマを伺いながら、その方の人柄を中心に紹介します。またその名の通り物々交換もします。


by bunkyo_warashibe
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No.008 教育学部 栗加 均 准教授【道徳教育・生徒指導・教師論】

今回で第8回目を数え、大学内でもようやく認知されてきたこの企画。更新のペースが上がらないのは相変わらずです。(どうもすみません。)編集活動に人手不足は否めませんが、「わらしべ広報プランナー研究室訪問記」の第8回はこの人です。


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栗加 均 准教授
(くりが ひとし)


【所属】教育学部 学校教育課程

【専門領域】道徳教育、生徒指導、
        教師論



◎前職は中学校教員

005.gif 中学校の先生という経歴をお持ちですが…。

「ええ、千葉県で長い間、教員をしていました。教科は数学でした。でも専門は道徳教育の授業を担当していまして、人権教育とか、生徒指導の主担当でした。」

018.gif それでは、専門分野と言いますと。

「はい。道徳教育、人権教育、生徒指導になります。あと、授業以外では、自分の経験を生かして、教員採用試験対策の講座などにも、力を注いでいます。」

025.gif 道徳教育は教職科目でも必修ですが、具体的に分かりやすく説明すると、どんな科目ですか。

「道徳は、わかりやすく言えば、一人一人が今日よりも明日、明日より明後日と、良い日になるように、より良く生きていくために、どうしていけばいいかということを考えていくことです。みんながみんな、そのように考えていくことが住みよい世の中になるということで、とても大事なことです。それが今、小学校ではよくやってくださっていますが、中学校では道徳の授業を小学校ほど、機会を設けることができていないのが現状です。なので、文教の学生には教員になったら、『みんなで道徳の授業をやろうね』といつも話しています。そのことで道徳教育の機会が増え、良い世の中になっていければとても良いことだと思っています。このことは、私が文教大学に着任してきた動機でもあります。」


◎すべての基本はあいさつから

c0223443_1515891.jpg001.gif 今、お話にも出てきました文教の学生について、どのような思いがありますか。

「ええ、教育学部の学生に限らないのですが、誰もが気軽にあいさつが交わせるようになると良いなあと思っています。このことは、私が文教大学に来て大事にしたいと思っていることなのですが、私は学生に会うと極力あいさつをするようにしていて、学生からもあいさつされるとあいさつを返すようにしています。そういうことが文教大学の近隣の住民の方たちにも広がっていくと、地域に根ざして教員養成の大学としても、とても良いことだと思います。」

003.gif あいさつは人付き合いの基本ですよね。どんなにすばらしい広告よりも、実際に文教の学生さんがあいさつをして、自分の大学について語ってくれたら、これに勝るものはありません。我々広報マーケティング室が目指す広報マインドの醸成はそういうところから始まっていくものなのですね。

「その第一歩があいさつかなと思います。そうは言っても今の若い人は小さいときから『見知らぬ人と話してはいけない』というようなしつけを受けてきているので、なかなかそれができないのです。やがて教員として社会に出て行く学生たちなので、あいさつの輪をしっかり広めてほしいと思っています。幸い、私は教育学部だけでなく、人間科学部や文学部の授業も担当しているので、ことあるごとにそういう話をしていきたいと思います。また、大学の先生方も含めて全体的にそういう輪が広がっていくと良いなあと思っています。」


◎文教大学の教員養成の魅力

c0223443_16141965.jpg034.gif 話が少しそれるかもしれませんが、文教大学の教員養成の魅力は何でしょうか。

「やっぱり、実践的なことでしょうかね。文教大学には教員養成を目的とした様々な体験プログラムがあって、普段からボランティアなどで、早い人で1年生の時から、自分で進んで学校現場に入ってお手伝いなどをしています。学生たちは、その学校の中で多くの活動する場面をいただき、教育現場やそこで働く先生の姿を見て、頭だけでなく実際に身をもって体験することができます。文教の教員養成の一番の魅力は、そういうところではないかと思います。

なので、私は小学校の教育実習時の研究授業を見せてもらうと、下手な新採用教員よりも授業が上手かったりする学生もいます。それは学校現場が長かった経験から言えることですが、そういう点からすると、文教でやっていることは非常に実践的だなと思います。」



◎最近の研究テーマは、「道徳の授業の方法論」

c0223443_16172655.jpg037.gif 最近、先生が研究されていることはどんなことですか。

「特に今、考えているのは、小中学校における道徳の授業の方法論です。学校現場では、道徳の授業をなかなか進んでやれない、または、やりたいけれど何をすればよいのか、わからないというのが実際の先生方の悩みです。私は、年間かなりの日数を割いて、全国各地の小中学校を校内研修や講演という形で訪問する機会があります。最近、心がけているのは、実際に生徒や児童を前に、私が授業を実践し、先生方が見ているところで、こんな風にしてやったらいかがですか、というように提案させてもらったりしています。研究テーマというと、多少大きくなりますが、そういう授業の方法論を一つ一つ確立するということが今の私が一番力を入れていることです。実際に授業をやらせてもらって、本当にそれが子どもたちに対して効果が上がる方法なのか、道徳性が高まったのか、道徳的実践力がついたのか、ということを検証し、教師も子どもたちも楽しいと思えるような、やりたくなるような授業をどうすべきか、実際に効果があるかということを研究し、ついこの間も論文にまとめたところです。」

025.gif 今の道徳の授業は、授業時間数が限られていて、教科教育の授業に押されてしまっている感じがしますよね。

「そうですね。中学校は特にそうかもしれません。だけど、道徳教育に力を入れている学校は学力も上がるということがわかっています。逆に勉強にばかり力を入れている学校は道徳力が上がるかと言えば、それは必ずしも言えないこともわかっています。このことは私の長年の経験も含め、いろいろな方の研究で確認されています。」

018.gif 道徳が軸になって、他の教科の勉強にも生活全体にも良い影響を与えるということですか。

「そうです。全般に関係することなので、あいさつや基本的生活習慣もそうですが、そういうところから真実の追究など、道徳の価値を求めていくことがあり、勉強につながっていくこともあると思います。良い大人になるとか、犯罪を起こさないようになるとか、子どもたちのこれからの人生において根幹となるものだと思います。」

043.gif 実際の学校現場では、道徳の授業はどのように行われているのですか。

「道徳の授業は週に1時間ありますが、広い意味での道徳教育は、それ以外にも様々な場面で行われています。朝の登校時には、『おはよう』と言える子どもたちになってほしいわけですし、給食時のマナーもそうですし、元気のない子がいれば励ましてあげようだとか、すべてが実践の場になります。週1時間の道徳の授業時間の中では、そういう日常生活に起こりうる事象について、あいさつの大切さだとか、友達への思いやりや優しさだとか、正義だとか、いじめをなくすことだとか、テーマを決めて集中的に一つ一つ取り上げます。それらをいろいろな資料を読み、話し合いをして、子どもたち自身がその一つ一つについてより深く理解できて、次の行動から意識してつながっていくことが道徳の授業の目的なのです。」


◎お宝はなんですか?

003.gif それでは、お宝を紹介していただけますか。

「はい。私のお宝は、道徳の授業で持ち歩いている教材でして、研究室では大きすぎてお見せできないので、教室に移動しましょう。」

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「実際にこれは授業でも使っているものなのですが、教材なのですよ。教材。」

「病院の重症患者のベッドルームの光景です。
物語は、窓際に位置するヤコブという人がカーテンに隠れた窓の外の光景を他の患者に話してくれます。『花売り娘がやってくるよ』とか『子どもたちが元気に遊んでいるよ』とか様子を話してくれます。そうすると、だんだん他の患者も窓際に行ってカーテンの外の光景を見たいと思うようになります。死が近づいてますます窓際のベッドに行きたいと懇願するすぐ隣の患者にヤコブは拒否します。
やがてすぐ隣の患者が亡くなり、ヤコブも遂には亡くなります。やっとの思いで今までヤコブが寝ていたベッドに最後の患者がたどり着いて、カーテンの外の光景を見てみたら、冷たいレンガの壁であった、というものです。」


c0223443_16265673.jpg「これには大学生も絶句します。それで、『この壁に何が見えますか?』という話をします。そうすると、小中学生は『ヤコブの思いやりが見える』とか『ヤコブの優しさが見える』と言ってくれます。ときには『ヤコブ自身の醜さが見えた』などというショッキングな意見を言ってくれる子どももいます。また、物語に感情が入り込んでしまって、『自分の嫌なところが見えた』という子どももいます。」

005.gif これは先生が製作したものですか。

「いえいえ。中学校の現場にいたとき、美術科の同僚の先生にこの教材の資料を見せて、『これで授業をやりたい』と言ったら、作ってくれました。」

「これが私の宝でして、日本中の小中学校に持ち歩いて授業に出かけています。飛行機に搭乗するときも肌身離さず、手荷物として機内に入れてもらいます。」


037.gif でも、こんなに大きいと、搭乗を断られませんか。

「ええ。実際にそういうことがありました。小松空港に行くときに、羽田空港でチェックインしたら、大きいので貨物室へという案内をされたのですが、授業の教材で使うということと、何よりも代え難い宝物だということが客室乗務員の方に情熱として伝わったのか、快く客室内に置くスペースを乗客3人分も確保してくれました。それ以来、青い翼の航空会社を指定して全国を旅しています。これとのつきあいもかれこれ10年以上になります。」


◎恒例! わらしべの交換です。

c0223443_16331038.jpg003.gif それでは、わらしべの交換をさせてください。まず前回の国際学部の阿野先生からのブックスタンドです。

「ありがとうございます。さっそく読書のときに使わせていただきます。」




c0223443_1636987.jpg010.gif では、栗加先生のものはなんでしょうか。

LED読書ライトです。読書ネタが続きますが、季節を考えてこれにしました。」

003.gif 先生、どうもすみません。こんなに奇麗にラッピングまでしていただいて、次の方はたいへん喜ぶと思います。

栗加先生、どうもありがとうございました。 029.gif

次回、このLED読書ライトがどのようなものに化けるか、乞うご期待です。
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by bunkyo_warashibe | 2010-10-21 16:39 | 教育学部