文教大学広報マーケティング室の広報プランナーが毎回、キャンパスの研究室等を訪ね、そこの教職員の専門分野や研究テーマを伺いながら、その方の人柄を中心に紹介します。またその名の通り物々交換もします。


by bunkyo_warashibe
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No.009 情報学部 佐野昌己 准教授【コンピュータ・グラフィックス】

11月29日嬉しいニュースが飛び込んできた。11月27日に関西国際空港で行われた「第6回学生国際ショートムービー映画祭in 関空」の授賞式で、本学情報学部4年生のグループ作品が、見事グランプリを受賞した。この映画祭、第5回までのグランプリ受賞者は、芸術系の学校から選ばれており、芸術系以外から選ばれたのは本学が初めてとのこと。
さて、そんな学生たちを指導した佐野昌己准教授とはどんな人物なのか?


c0223443_9294613.jpg 佐野昌己 准教授
 (さの まさみ)


 【所属】
  情報学部情報システム学科

 【専門領域】
  コンピュータ・グラフィックス


◎専門領域はコンピュータ・グラフィックス

005.gif まず、専門分野について教えてください。

「コンピュータ・グラフィックス・アニメーション、および、データベースです。そのうち、大学で担当する講義に近いのはコンピュータ・グラフィックスで、いわゆるCGです。CGの歴史は意外と古いのですが、身近に目にするようになったのは1980年代以降です。いわゆるパソコンの歴史とリンクしているところがあります。その頃は、大学のレポートはもちろん、論文も手書きが当然という時代だったのですが、いまの学生さんには想像がつかないでしょうね。」

c0223443_9493950.jpg005.gif 大学では、コンピュータ・グラフィックを専攻されていたのでしょうか。

「いえ、大学時代は化学科の学生でした。私の学生時代には、ワープロが登場して、論文に自分で組んだプログラムでパソコンの画面に描いたグラフを写真で撮って貼ったのが画期的(?)という時代でした。化学実験をするよりもパソコンに絵を描くほうが面白くなってしまったのもそういう時代背景のせいかも知れません。大学卒業後は、そのまま化学専攻の大学院へ進んだのですが、諸事情もあって大学院を辞めて、映像制作の仕事を始めました。その当時はCGをやっている人も珍しくて仕事は順調でした。

ただ、(CGを仕事としているのが)珍しかったせいか、CG関係の原稿を書いてくれという仕事もたくさん来て、いつの間にか原稿を書くのと制作するのとどちらが主かわからなくなっていましたね。そして、書籍をいくつか出すうちに大学で教えて欲しいという話が来たりして、その後、大学院に入り直して、気がついたら文教大学でこうして教えています。」



034.gif 佐野先生は、CGをはじめとする映像制作の仕事を続けるなかで、映像の知識の体系化が必要と思い、名古屋大学の大学院に入ります。


「名古屋大学の大学院では、化学ではなく国際言語文化研究科で国際多元文化というのを専攻して、先端文化論としてアニメや映画を研究しました。社会人として映像制作の仕事をしていたのもありますが、元をたどると高校生の時には、8mmカメラで映画を3本撮ってそれを文化祭などで上映するということをやっていたので元々、こういう分野が性に合っているのでしょう。特にそのうちの1本は、今年、情報学部30周年行事としてシンポジウムが行われた関内ホールで上映したことを思い出すと感慨深いです。」


c0223443_9562394.jpg003.gif 11月末に卒業プロジェクト演習という科目で指導した学生が作ったショートムービーが、映画祭でグランプリをとりましたね。

「はい、情報システム学科には『卒業プロジェクト』という科目あります。この科目は、1年次から始まり3年次まで続く一連のプロジェクト演習の集大成として、4年次に個々の教員の研究分野特化した指導を受けること目的としているのですが、今年、私が指導している学生達が、『学生国際ショートムービー映画祭in関空』に出品してグランプリをいただきました。学生は、5月に検討を始めて6か月かけて、10人の学生が計画的に撮影をしていきました。

『つながる』をテーマに3分の作品を作成したのですが、全国から寄せられた作品の中には、芸術系の大学も多く、文教大生の作品よりも芸術性が高いとか技術的に凝っているものもあったように感じました。そんな中、幸運にもグランプリを受賞できたのは、テーマに対して企画が良く練られていて、わかりやすい作品だったからではないかと思います。」



034.gif グランプリ作品を見せてもらった。ひとことで言うと、シンプル・イズ・ベスト。実写とCGがつながるという展開のショートムービーで、紙飛行機の手紙を通して、入院している女性といろいろな人がつながっていることがイメージでき、一貫してテーマが追求されている。


◎モノづくりの基本を伝えたい

005.gif 映像制作を指導するうえで、どのような方針を持たれていたのでしょうか。

『企画を立てて計画して、見る人の立場にたってモノをつくる』というモノづくりの基本を身につけるのがプロジェクト演習の目的です。私は、この基本姿勢を折に触れ、示しただけです。あとは、学生たちが企画をし、撮影をし、編集をして完成させたわけです。といっても、今年の夏休みは、かなりの日数、企画制作会議に立ち会いましたが(笑)。

企画を立てて制作をして世に出すという一連の映像制作のプロセス全般は、現在の私の専門分野でもありますが、『見ている人、使う人の立場になってモノ(サービス)をつくる』という姿勢を身につけることは、社会人としてもっとも重要なことの一つではないでしょうか。」



005.gif さて、最近の研究テーマについて教えてください。

「研究発表を行うなど表に現われる形で行っているものとしては、茅葺古民家写真のデータベース化です。昭和40年代から50年代を中心に撮影された約20000枚の貴重な資料をデジタル化し、これをデータベース化する仕事を行っています。11月の情報文化学会全国大会で途中経過を報告したところ、多くの方に興味を持っていただき、データベースの完成に向けて大きな期待を寄せていただきました。」


034.gif 写真は歴史を後世に伝える貴重な知的財産。デジタルアーカイブ化を通してその保護をする試みは、ITを通して価値を守るというのは、社会的にも大変意義のある取り組みだ。


c0223443_1092382.jpg005.gif 「お宝」を見せていただけますか?

「このマネキンの顔です。

師と仰がせていただくのも恐縮なのですが、名古屋大学大学院では、研究科の垣根を越えて、当時の情報科学研究科の末永康仁教授(現 名古屋大学名誉教授)ITS(高度道路交通システム)関係の研究をお手伝いさせていただいていました。私は、CGをはじめとして、画像を仕事でもやっていたので、車のなかで、カーナビと対話するという音声と画像の統合のデータベースをつくる研究をしていました。当時、その研究の一環として、自動車を運転しているとき、ドライバーにどんな光が当たったり、影が落ちるかというのを、実際に助手席にこのマネキンを置いてビデオで観察したものをデータに反映させる実験をしていました。」


017.gif 実験をしている光景を想像するとおかしいですね(笑)


◎恩師から学んだ大切なこと

005.gif このマネキンを見ると、末永先生のある言葉がよみがえってくるとか。

「はい、このマネキンが研究にどの程度役に立ったかというのはさておき、末永先生のいつもおっしゃっていたことが忘れられません。特に研究をする姿勢について『日本の多くの皆さんから援助(税金)で我々は研究をしているのだということを忘れないで下さい。貴重な資金と時間を大切にし、そして、期待に応える成果を出してください。』という趣旨ことをよく話されていたのが特に印象に残っています。末永先生の言葉がこの通りであったかという記憶は確かではありませんが、私の心にはそう刻まれています。

名古屋大学は、国立大学法人であり末永研究室は典型的な理系なので、文教大学の学生の皆さんなら、親御さんの援助で大学で学んでいるのだと置き換えるとわかりやすくなるのではないかと思います。大学で実際に勉強するのは学生の皆さんに違いありませんが、
多くの場合、それが可能なのは親御さんや親戚の方などからの貴重な資金援助があってこそ可能になっているのだと思います。

勉強というのは、自分の為だけではなく、援助してくださった親御さんやその他の皆さん、国からの助成もあります、そういう多くのことに感謝をして報いること、それこそ人類に貢献するのが大学で学ぶ意味なのだと思います。」



034.gif 日本では、大学進学率が5割を超えており、「大学で勉強できるのが当たり前」と思っている人が多い。しかし、世界的に見れば、大学をはじめとした高等教育機関に経済的理由で進学できない人も大勢いる。リーマンショック以降、日本でも経済的理由で進学をあきらめるひとが多くなっていることを踏まえると、「学べること」自体に感謝しなければと思う。


◎わらしべの交換

c0223443_10331796.jpg005.gif それでは、「わらしべ」を交換したいと思います。

まず前回の教育学部の栗加先生からのLED読書ライトです。

「こういうものがほしかったんです。さっそく読書のときに使わせていただきます。」


c0223443_1035181.jpg005.gif 実用本位で申し訳ありませんが、このUSBフラッシュメモリはどうでしょうか。

「これは、セキュリティ機能を持っているのが特徴で、自分で使うために購入したのですが、せっかくですので提供したいと思います。最近では、このような小さなものでも何処かに落としたり、置き忘れてくるだけで世間を騒がせることになってしまいます。もちろん、個人情報の管理などは十分に行っていますが、ちょっとしたメモ書きや研究資料でも紛失は命取りになりかねません。だいたい、失敗というのは気を許した時に起こすものなので、セキュリティ機能を持っている物を使うようにするのは安心です。」


佐野先生、ありがとうございました。 029.gif

次回、この『USBフラッシュメモリ』がどんなものに化けるか、乞うご期待です。


034.gif 【インタビューを終えて】
若いころ、映像制作会社の経営をしていた。経営者ともなれば、常に順風満風ではない。さまざまな経験をされているはずだ。苦しみ、悲しみを知っているからだろうか、佐野先生が若い文教大学の学生に向けるまなざしがとてもやさしい。
もう一つ。アニメーションをはじめとするコンテンツ産業の話題になった。いまやアニメーションは、日本の中だけでは作れなくなっている。中国、韓国をはじめとする他国との国際的協業についても強い関心をもって研究している。先日、中国に行ったという。他国との比較でいうと、日本のコンテンツ業界は、まさにカオス(混沌)という。しかし、カオスのパワー、エネルギーがある。だから、他国からの追い上げもあるが、まだ数年は、日本が優位だという・・・。そんなことを話していたら、約束の30分がすぐに来てしまった。

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by bunkyo_warashibe | 2010-12-21 10:39 | 情報学部