文教大学広報マーケティング室の広報プランナーが毎回、キャンパスの研究室等を訪ね、そこの教職員の専門分野や研究テーマを伺いながら、その方の人柄を中心に紹介します。またその名の通り物々交換もします。


by bunkyo_warashibe
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カテゴリ:情報学部( 3 )

意外と知られていないかも知れませんが、文教大学情報学部広報学科には、美術大学を出た教員が3名もおり、デザインや視覚表現も学ぶことができます。今日は、そんな美術系の教員の一人、村井睦准教授に、デザイナーを志したきっかけや、美大と情報学部広報学科との違いなどについてお話を伺いました。


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 村井 睦 准教授
 (むらい まこと)


 【所 属】  情報学部 広報学科

 【専門領域】 視覚伝達表現




◎デザイナーになったきっかけとは?

018.gif 専門分野について教えてください。

「少し難しい言葉かも知れませんが、『視覚伝達表現』です。また『デザイン』のほか、ウェブなどの『インタラクティブメディア』などを専門としています。」


017.gif デザイナーになろうとしたきっかけを教えてください。

「高校時代に車に大変興味があり、『車のデザインをやりたい』と思ったのがきっかけです。
当時、車のデザインができる工業デザインが学べる大学は、数少なく、日産のBe-1をデザインした先生がいる東京造形大学に進みました。しかし、入ってみてわかったのですが、ひとつの車種のデザインを市場調査などプランニングからモデルチェンジまで入れると1つのサイクルが完結するのに8年もかかるのですね。『これは自分にはとてもできない』と思って、工業デザインのなかでもパソコンや、家電製品などを学ぶことにしました。」



025.gif 大学を卒業した後はどうされたのですか。

「就職活動は、工業デザインができるいくつかのメーカーやデザイン会社などを回り、数社から内定をもらいました。勤務条件がよい大手のメーカーからもお声かけいただいたのですが、結局、おしゃれな街で働けることに魅かれて代官山にあるデザイン会社に決めました。(笑)
そこでは、3次元(3D)画像処理の分野を築き上げたシリコングラフィックス社のワークステーションなどを使い仕事をしていました。一線の実社会で仕事をしながら、いくつかの大学からも声をかけていただき、グラフィックデザインの助手や非常勤講師として教えていました。その後、2007年に文教大学情報学部広報学科の専任講師に就任しました。」



◎「新メディアでの表現」が現在のテーマ

039.gif 情報学部広報学科では、どんな科目を担当されているのですか。

「情報表現の科目では、『Webデザイン』『バーチャル映像』のほか、グラフィックデザインの基礎『デザインⅠ』などです。講義モノでは、『インタラクティブメディア論』などを担当しています。」


027.gif 最近特に力をいれている研究テーマはどのようなものですか。

「既存のメディアに留まらない『新しいメディア』での表現について研究しています。具体的には、インタラクティブメディア、喫緊のテーマはSNSの研究です。かつて90年代にインターネットが出てきたときに、紙媒体はなくなるって言われていたが結局そうはならなかった。しかし、ここ数年のSNSの普及は、特に若者のメディア接触を変えてしまうインパクトがあり、新聞や雑誌などの紙媒体への接触は確実に減ってきています。そうした変化のなかで、SNSなどでの表現がどのように変化しているのかを研究しています。技術の進歩がきわめて速く、毎年、講義内容はほぼ全部変わっているほどです。」


◎情報学部広報学科と美術大学の違いとは?

036.gif ところで、情報学部広報学科で教えてみて、どのようなことを感じていますか。

「美術大学で非常勤講師として教えていた事がありますが、美大の学生は、何かテーマを与えて作品の課題を出すと、求められているものの『倍のレベル』のものを出してきます。つまり、表現能力が非常に高いのです。一方で、広報学科の学生は、表現能力も一定レベル以上こなしますが、それだけでなく、問題を整理して、企画し、表現したものをプレゼンテーションする力があります。情報学部では、そういう全体的なバランス能力を高める教育をしていることもあるのですが、そこが美大生との違いですね。美大生は、表現に命をかけて、人に説明することまでは考えていない人が多い(笑)。」


c0223443_10381321.jpg 013.gif 広報学科の学生も表現能力が一定レベル以上あるとおっしゃいましたが、具体的には、どういうことができるのですか。

「授業では、グラフィックデザインソフトの『イラストレーター』や『フォトショップ』のDTP技術などを一通りできるようにします。3Dソフトやコンピュータ音楽などの授業もありますし、インターネットのホームページ制作もできるようになります。映像ソフトや放送番組の制作授業もあり、守備範囲が非常に幅広いのですね。広報学科では、こうした技術を習得することを『手』の学びといっており、メディアの特性などの理論的な『頭』での学びとともに重視しています。」


034.gif 実社会では、メディアの特性や社会の動きを押さえつつ、「表現」までできる総合的なバランスのある人材が求められていると思いますが、その意味では、広報学科の学生は、時代が求める能力を備えていると言えそうですね。

「私もそう思います。広報学科の学生は、そういう長所をもっと自覚していいと思います。」


◎お宝は何ですか?

c0223443_10411659.jpg 012.gif お宝をみせていただけますか。

第81回アカデミー短編アニメ賞をとった『つみきのいえ』をご存知ですか。この作品の加藤久仁生(かとうくにお)監督は、多摩美術大学時代に片山雅博先生から指導を受けたのですが、その片山先生からいただいたお手紙が宝物です。2009年12月に、文教大学の授業に外部講師としてお越しいただいてお話いただいたときにいただいたものです。普通、こちらがお呼びした授業でお話していただいたのだから、お礼状はお呼びしたほうが出すものでしょう?しかし、先生は、こうしたイラストとともに講義したときの文教大学の学生の表情についてコメントを寄せてくれている。『文教大学万歳、学生の目が生き生きしていましたよ』。自分の所属大学以外の学生に対しても、温かいまなざしを向けられる、すばらしい先生でした。しかし、惜しくも昨年、56歳という若さで亡くなられました。」


◎恒例、わらしべの交換です。

c0223443_1043576.jpg教育学部 石井勉先生からの「珊瑚」と「貝殻」です。

沖縄の「粟国島(あぐにじま)」のものだそうです。


「きれいですね。ありがとうございます。」


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「私からは、こちらです。

私の妻はイラストレーターをしているのですが、その妻が制作した2012年度カレンダーです。」





c0223443_10505786.jpg「そのほかに、昨年、国際学部と共同でつくった『Niseko-ism』インバウンド観光の今-というDVDと2010年の情報学部創設30周年記念事業DVDです。いずれも、私が制作に関わりました。そのほかに、2010年度の私のゼミナール卒業研究作品集のほか、2009年度情報学部卒業制作作品集(DVD)です。情報学部の取り組みを知るにはとてもいい材料だと思います。」


村井先生、ありがとうございました。


さあ、このカレンダーがどんなものに化けるか乞うご期待。
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by bunkyo_warashibe | 2012-04-27 10:54 | 情報学部
11月29日嬉しいニュースが飛び込んできた。11月27日に関西国際空港で行われた「第6回学生国際ショートムービー映画祭in 関空」の授賞式で、本学情報学部4年生のグループ作品が、見事グランプリを受賞した。この映画祭、第5回までのグランプリ受賞者は、芸術系の学校から選ばれており、芸術系以外から選ばれたのは本学が初めてとのこと。
さて、そんな学生たちを指導した佐野昌己准教授とはどんな人物なのか?


c0223443_9294613.jpg 佐野昌己 准教授
 (さの まさみ)


 【所属】
  情報学部情報システム学科

 【専門領域】
  コンピュータ・グラフィックス


◎専門領域はコンピュータ・グラフィックス

005.gif まず、専門分野について教えてください。

「コンピュータ・グラフィックス・アニメーション、および、データベースです。そのうち、大学で担当する講義に近いのはコンピュータ・グラフィックスで、いわゆるCGです。CGの歴史は意外と古いのですが、身近に目にするようになったのは1980年代以降です。いわゆるパソコンの歴史とリンクしているところがあります。その頃は、大学のレポートはもちろん、論文も手書きが当然という時代だったのですが、いまの学生さんには想像がつかないでしょうね。」

c0223443_9493950.jpg005.gif 大学では、コンピュータ・グラフィックを専攻されていたのでしょうか。

「いえ、大学時代は化学科の学生でした。私の学生時代には、ワープロが登場して、論文に自分で組んだプログラムでパソコンの画面に描いたグラフを写真で撮って貼ったのが画期的(?)という時代でした。化学実験をするよりもパソコンに絵を描くほうが面白くなってしまったのもそういう時代背景のせいかも知れません。大学卒業後は、そのまま化学専攻の大学院へ進んだのですが、諸事情もあって大学院を辞めて、映像制作の仕事を始めました。その当時はCGをやっている人も珍しくて仕事は順調でした。

ただ、(CGを仕事としているのが)珍しかったせいか、CG関係の原稿を書いてくれという仕事もたくさん来て、いつの間にか原稿を書くのと制作するのとどちらが主かわからなくなっていましたね。そして、書籍をいくつか出すうちに大学で教えて欲しいという話が来たりして、その後、大学院に入り直して、気がついたら文教大学でこうして教えています。」



034.gif 佐野先生は、CGをはじめとする映像制作の仕事を続けるなかで、映像の知識の体系化が必要と思い、名古屋大学の大学院に入ります。


「名古屋大学の大学院では、化学ではなく国際言語文化研究科で国際多元文化というのを専攻して、先端文化論としてアニメや映画を研究しました。社会人として映像制作の仕事をしていたのもありますが、元をたどると高校生の時には、8mmカメラで映画を3本撮ってそれを文化祭などで上映するということをやっていたので元々、こういう分野が性に合っているのでしょう。特にそのうちの1本は、今年、情報学部30周年行事としてシンポジウムが行われた関内ホールで上映したことを思い出すと感慨深いです。」


c0223443_9562394.jpg003.gif 11月末に卒業プロジェクト演習という科目で指導した学生が作ったショートムービーが、映画祭でグランプリをとりましたね。

「はい、情報システム学科には『卒業プロジェクト』という科目あります。この科目は、1年次から始まり3年次まで続く一連のプロジェクト演習の集大成として、4年次に個々の教員の研究分野特化した指導を受けること目的としているのですが、今年、私が指導している学生達が、『学生国際ショートムービー映画祭in関空』に出品してグランプリをいただきました。学生は、5月に検討を始めて6か月かけて、10人の学生が計画的に撮影をしていきました。

『つながる』をテーマに3分の作品を作成したのですが、全国から寄せられた作品の中には、芸術系の大学も多く、文教大生の作品よりも芸術性が高いとか技術的に凝っているものもあったように感じました。そんな中、幸運にもグランプリを受賞できたのは、テーマに対して企画が良く練られていて、わかりやすい作品だったからではないかと思います。」



034.gif グランプリ作品を見せてもらった。ひとことで言うと、シンプル・イズ・ベスト。実写とCGがつながるという展開のショートムービーで、紙飛行機の手紙を通して、入院している女性といろいろな人がつながっていることがイメージでき、一貫してテーマが追求されている。


◎モノづくりの基本を伝えたい

005.gif 映像制作を指導するうえで、どのような方針を持たれていたのでしょうか。

『企画を立てて計画して、見る人の立場にたってモノをつくる』というモノづくりの基本を身につけるのがプロジェクト演習の目的です。私は、この基本姿勢を折に触れ、示しただけです。あとは、学生たちが企画をし、撮影をし、編集をして完成させたわけです。といっても、今年の夏休みは、かなりの日数、企画制作会議に立ち会いましたが(笑)。

企画を立てて制作をして世に出すという一連の映像制作のプロセス全般は、現在の私の専門分野でもありますが、『見ている人、使う人の立場になってモノ(サービス)をつくる』という姿勢を身につけることは、社会人としてもっとも重要なことの一つではないでしょうか。」



005.gif さて、最近の研究テーマについて教えてください。

「研究発表を行うなど表に現われる形で行っているものとしては、茅葺古民家写真のデータベース化です。昭和40年代から50年代を中心に撮影された約20000枚の貴重な資料をデジタル化し、これをデータベース化する仕事を行っています。11月の情報文化学会全国大会で途中経過を報告したところ、多くの方に興味を持っていただき、データベースの完成に向けて大きな期待を寄せていただきました。」


034.gif 写真は歴史を後世に伝える貴重な知的財産。デジタルアーカイブ化を通してその保護をする試みは、ITを通して価値を守るというのは、社会的にも大変意義のある取り組みだ。


c0223443_1092382.jpg005.gif 「お宝」を見せていただけますか?

「このマネキンの顔です。

師と仰がせていただくのも恐縮なのですが、名古屋大学大学院では、研究科の垣根を越えて、当時の情報科学研究科の末永康仁教授(現 名古屋大学名誉教授)ITS(高度道路交通システム)関係の研究をお手伝いさせていただいていました。私は、CGをはじめとして、画像を仕事でもやっていたので、車のなかで、カーナビと対話するという音声と画像の統合のデータベースをつくる研究をしていました。当時、その研究の一環として、自動車を運転しているとき、ドライバーにどんな光が当たったり、影が落ちるかというのを、実際に助手席にこのマネキンを置いてビデオで観察したものをデータに反映させる実験をしていました。」


017.gif 実験をしている光景を想像するとおかしいですね(笑)


◎恩師から学んだ大切なこと

005.gif このマネキンを見ると、末永先生のある言葉がよみがえってくるとか。

「はい、このマネキンが研究にどの程度役に立ったかというのはさておき、末永先生のいつもおっしゃっていたことが忘れられません。特に研究をする姿勢について『日本の多くの皆さんから援助(税金)で我々は研究をしているのだということを忘れないで下さい。貴重な資金と時間を大切にし、そして、期待に応える成果を出してください。』という趣旨ことをよく話されていたのが特に印象に残っています。末永先生の言葉がこの通りであったかという記憶は確かではありませんが、私の心にはそう刻まれています。

名古屋大学は、国立大学法人であり末永研究室は典型的な理系なので、文教大学の学生の皆さんなら、親御さんの援助で大学で学んでいるのだと置き換えるとわかりやすくなるのではないかと思います。大学で実際に勉強するのは学生の皆さんに違いありませんが、
多くの場合、それが可能なのは親御さんや親戚の方などからの貴重な資金援助があってこそ可能になっているのだと思います。

勉強というのは、自分の為だけではなく、援助してくださった親御さんやその他の皆さん、国からの助成もあります、そういう多くのことに感謝をして報いること、それこそ人類に貢献するのが大学で学ぶ意味なのだと思います。」



034.gif 日本では、大学進学率が5割を超えており、「大学で勉強できるのが当たり前」と思っている人が多い。しかし、世界的に見れば、大学をはじめとした高等教育機関に経済的理由で進学できない人も大勢いる。リーマンショック以降、日本でも経済的理由で進学をあきらめるひとが多くなっていることを踏まえると、「学べること」自体に感謝しなければと思う。


◎わらしべの交換

c0223443_10331796.jpg005.gif それでは、「わらしべ」を交換したいと思います。

まず前回の教育学部の栗加先生からのLED読書ライトです。

「こういうものがほしかったんです。さっそく読書のときに使わせていただきます。」


c0223443_1035181.jpg005.gif 実用本位で申し訳ありませんが、このUSBフラッシュメモリはどうでしょうか。

「これは、セキュリティ機能を持っているのが特徴で、自分で使うために購入したのですが、せっかくですので提供したいと思います。最近では、このような小さなものでも何処かに落としたり、置き忘れてくるだけで世間を騒がせることになってしまいます。もちろん、個人情報の管理などは十分に行っていますが、ちょっとしたメモ書きや研究資料でも紛失は命取りになりかねません。だいたい、失敗というのは気を許した時に起こすものなので、セキュリティ機能を持っている物を使うようにするのは安心です。」


佐野先生、ありがとうございました。 029.gif

次回、この『USBフラッシュメモリ』がどんなものに化けるか、乞うご期待です。


034.gif 【インタビューを終えて】
若いころ、映像制作会社の経営をしていた。経営者ともなれば、常に順風満風ではない。さまざまな経験をされているはずだ。苦しみ、悲しみを知っているからだろうか、佐野先生が若い文教大学の学生に向けるまなざしがとてもやさしい。
もう一つ。アニメーションをはじめとするコンテンツ産業の話題になった。いまやアニメーションは、日本の中だけでは作れなくなっている。中国、韓国をはじめとする他国との国際的協業についても強い関心をもって研究している。先日、中国に行ったという。他国との比較でいうと、日本のコンテンツ業界は、まさにカオス(混沌)という。しかし、カオスのパワー、エネルギーがある。だから、他国からの追い上げもあるが、まだ数年は、日本が優位だという・・・。そんなことを話していたら、約束の30分がすぐに来てしまった。

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by bunkyo_warashibe | 2010-12-21 10:39 | 情報学部
入試の季節となりましたが、その忙しい最中、「わらしべ広報プランナー研究室訪問記」の第3回に登場していただいたのは、この人です。

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石田 晴美 准教授
(いしだ はるみ)


【所属】情報学部 経営情報学科

【専門領域】会計学・公会計
        ・行政評価





◎ゼミ生の合格が宝だ!

「これが私の宝です!」
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1月28日、湘南キャンパス情報学部棟の石田先生(以下、石田)の研究室に入るなり、ドアに貼られた2枚の紙を指さして、石田はいう。このコーナー恒例の「お宝の紹介」は、インタビューの最後に聞こうと思っていた筆者は、この展開に度肝を抜かれた。

「私の夢は、『祝合格』の貼り紙をこの扉いっぱいにすることです。」

034.gif 石田ゼミ4年生が、昨年8月に行われた税理士試験の簿記論に合格。また、2年前に卒業したゼミ生が、昨年12月に行われた公認会計士短答試験に合格したのだ。いずれも、合格率9%台の難関である。

石田が目を輝かせて語る。

「学生が、会計士・税理士試験に挑戦すると決めたら、めいっぱい応援します。
私もかつて受験生だったので、受験生の気持ちがわかります。少しでも心の支えになれたらと思います。」


034.gif 石田晴美准教授は、明治大学法学部を卒業後証券会社に就職、その後、一念発起して退職、猛勉強の末、公認会計士試験に合格。監査法人を経て、横浜国立大学大学院で博士(経営学)を取得、文教大学は5年目で、「財務会計論」を講じるほか、ゼミナールも担当する。

「学生には、公認会計士や税理士などの会計資格の紹介を通して次のことを伝えている。
人生はいくつになってもやり直しがきく。会計士・税理士になるための勉強は、誰でも(東大生でも)大学に入って初めて学ぶことなのでまさにフレッシュスタートができる。受かったら、一生自信を持って生きていける。人生80年。2~3年必死に勉強してもいいんじゃないか、ってね。」


027.gif この話を聞いていて、かつて英国の「鉄の宰相」と言われたサッチャー元首相の言葉を思い出した。
 
 教師というのは、ある種特別の才能を持ち合わせている人がなるものである


サッチャー元首相が、この言葉をどのような意味で語ったか定かではない。
ただ、推測するに、サッチャー元首相の考える教師とは、単に教えることが好きで得意というだけでなく、教え子に対し、情熱を伝播させ、やる気を起こさせ、一緒に悩み悲しむ「共感力」を長く維持させる能力を持っている人々を指しているのではなかろうか。
その意味で、石田は、元々は会計畑にいたとしても本質的に「教師」なのだと思った。

司法試験にしろ、公認会計士試験にしろ、現在は、資格を持っているだけで食べていける時代は終わっている。博士号にしてもそうだが、取得してもバラ色の生活は保障されているわけではなく、ある種の「最大限の覚悟」が必要なことには、留意する必要がある。
しかし、石田の話を聞いていると、挑戦する覚悟がある学生には、全力で支え、喜びや悲しみを分かち合うから、「どうだ、人生に一度くらい、死に物狂いで挑戦してみろよ」と語っているように感じた。


c0223443_13434589.jpg◎公会計ってなんだ?

018.gif 石田先生の専門分野について分かりやすく教えてください。

「会計学のうち、公会計という国や地方自治体の会計を扱う分野を専門としています。
公会計には、さらに行政の業績(成果)を扱う行政評価という分野があり、そこに強い関心があります。」



018.gif 行政評価とは聞きなれない言葉ですが、具体的にはどのようなものですか。

「例えば、ある自治体が老人医療費削減のために、「骨粗鬆症(こつそしょうしょう)」予防を目的とする二つの事業を考えているとしましょう。第1の事業は、「骨粗鬆症予防のための有名医師による講演会」の実施、第2の事業は、各地区の公民館を1年間にわたって巡回し体操教室を開く。同じ予算規模だったら、どちらを選択しますか?」


042.gif にわかにはわかりかねたので、あえて無言を通していると、

「この場合、本来のゴール(目的)は、骨粗鬆症の削減にどれだけ実質的に寄与できるかということです。どちらの事業もやってみないとわからない。けれど、骨粗鬆症の患者数を3年後に1,000人減少させるという具体的な成果目標を設定すれば、目標を達成できない、あるいは、このままでは達成できそうにない時に事業を変更する必要が出てきますよね。これが行政評価なんです。従来は、予算(インプット)ベース、あるいは、来場者数のような産出量(アウトプット)ベースでしか、行政サービスの業績を測定してこなかった。来場者数などは自治会・町内会等の組織に動員をかければ増やすことができますよね。しかし、目標値を成果(アウトカム)に設定したら、ごまかしようがないんです。何年か事業を実施して成果があがらなければ、事業そのものをやめるという選択肢が出てきます。このように行政が実施する事業ごとに、どのような成果を望み、その達成をどのように測定すると次のより良い事業につながるかを考えるのが行政評価なんです。」


018.gif なるほど、事業仕分けが論議になっている現在ほど、行政評価という視点がクローズアップされるかもしれないですね。端的にいうと、行政評価は「評価の指標」を作ることですか?

「そうではないのです。目標値をどのように設定するか、効果を測定する指標を何にするかももちろん行政評価の一部ですが、「現場の人が本気を出させるための仕組み」をどう作るか?ということがもっとも重要だと考えます。何といっても、現場で働く公務員自身が知恵を絞って、その力を最大限発揮することなくして行政の質は高められないですからね。現場の職員が挑戦的な目標、いいかえれば、自分で自分の首をしめるような高い目標を自ら設定させるための仕組みが求められているのです。そのために首長や管理職にどのようなリーダーシップが必要なのか、モチベーション維持には何が効果的なのか。限られた資源を効率的かつ有効に使うためにはどんな仕組みが必要か、そんなことを考えるのが行政評価です。組織の風通しのよいことも必要条件でしょうね。」


企業の場合は、売り上げや利益がでることが中期的には社会に評価された証である。一方で、自治体は、これまでは、当初予算をどれだけ使い切るとか、予算をどこからか分捕ってくるということが評価されてきた。何のためにやっているのかということを常に考えて、自治体の仕事の「PDCAサイクル※」を確立し、行政サービスの質を高めていくことが求められているってことだと筆者は思った。
最後に、研究上の夢を聞いてみた。

「地方自治体の職員と住民の双方が幸せになるためのツールとしての行政評価の発展に、少しでも役に立てたら嬉しいですね」

※PDCAサイクル
計画(Plan)、実行(Do)、評価(Check)、改善(Act)というプロセスを回すことによって、継続的な業務改善活動を推進するマネジメントサイクルのこと。現在では製造業だけでなく、あらゆる業種にこの考え方が浸透しつつある。



◎わらしべもやっぱり受験ネタだった

そして、いよいよ「わらしべの交換」です。

「これも受験ネタですが、これです。」

c0223443_1348172.jpg神奈川県鎌倉市にある学問の神様として知られる菅原道真公ゆかりの荏柄天神社の合格祈願鉛筆です。

この合格祈願鉛筆で勉強して受かった人が出始めていることを考えるとかなりの御利益がありそうである。



前回の会沢先生(教育学部)の「カスタム君」ストラップが由緒ある合格祈願鉛筆になりました。


さて、次のわらしべは何か? 乞うご期待です。
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by bunkyo_warashibe | 2010-02-08 14:00 | 情報学部