文教大学広報マーケティング室の広報プランナーが毎回、キャンパスの研究室等を訪ね、そこの教職員の専門分野や研究テーマを伺いながら、その方の人柄を中心に紹介します。またその名の通り物々交換もします。


by bunkyo_warashibe
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2号館4階は、湘南校舎でもっとも美しい富士山が見える場所。この4月に赴任した秋吉美穂子先生の研究室は、その階の中央付近にあります。訪問した5月13日は、五月晴れだったこともあり、きれいな富士山が見えるのでは?と、少し期待していましたが、富士山が見える方角には雲がかかっていて見えませんでした。秋吉先生も着任してからはまだ、研究室から富士山を見たことはないとのことでした。


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秋吉美穂子 専任講師
(あきよし みほこ)


【所属】健康栄養学部 管理栄養学科

【専門領域】栄養教育





◎1ドル紙幣に込められた「一期一会」の思い

c0223443_172876.jpg018.gif まず、お宝を見せていただけるということですが、どのようなものですか。

「家族の仕事の関係で、アメリカにしばらく暮らしていたんですが、帰国する時にガレージセールをしたんですね。通りがかりの見ず知らずの方が、“For Sale”とこどもが書いた紙をみて、私の家の中古車を買いたいと申し出てくださって、その方に売ることになったんです。その時にいただいた1ドル紙幣に、その方が記念に子どもの名前とメッセージを書いてくださったんです。メッセージには、―グッドラック、アメリカの友より-とあり、はじめて会った方なのに信頼してくれて、小さな商談が成立したことに感動しました。私は、ひととのつながりや、出会いを大事にしようと心掛けているので『一期一会』という言葉を大事にしています。そういうことを思い起こさせてくれる『お守り』としてこの紙幣を大切にしています。」


034.gif 秋吉先生は、慶応義塾大学商学部の村田昭治ゼミでマーケティング論を学んだ後、銀行に就職、その後夫の転勤でニューヨークに滞在。帰国後、10年以上ぶりに受験勉強をして、都立立川短大に進学し、専攻科を含めて栄養学を3年間学んだ。


012.gif とても印象的なお話ですね。「大切にしているモノを知ると、大切にしている価値観がわかる」とは、誰かが言ったかわかりませんが、そういう言葉が思い出されました。ところで、ニューヨークでのある体験が、栄養学を学ぶきっかけの一つだとお伺いしましたが・・・

「そうなんです。アメリカでは、レストランでも、カリフラワーとかブロッコリーが生でサラダバーにおいてあって、生で食べるようになっているんですね。最初、この光景に、食文化って、地域によって、こんなに違うんだという驚きだったんですが、その後、食への興味に変わっていきました。」

「帰国後、きちんと勉強しなおすのなら、『食べること』を核に、人間ってなんだろうということを勉強してみようと思いました。向こうでの何気ない体験が、帰国後栄養学を学ぶきっかけになりました。栄養の学校に進むために、6か月程度、受験勉強をしてから、18歳前後の若い(!)受験生と一緒に受験をして、東京都立立川短大に進みました。」




◎栄養教育とマーケティング・マインド

c0223443_17224868.jpg003.gif 都立栄養短大に進学されて学んでいくなかで、大学時代の専攻であるマーケティングとの類似点に気付かれたということですが・・・

「栄養学を学んでいくと、栄養教育の方法論では、『栄養アセスメント』から入り、計画をたて、実行し、評価するというPDCAサイクル※が取り入れられていることを知り、大学時代に学んだ経営の品質管理から来ていると思いました。さらに、『患者さんのニーズを把握する』といったことも、消費者行動論の考え方と似ているなと思ったんです。大学時代にマーケティングを少し学んでいたことで、栄養教育の方法論をすんなり理解することができました。

対象者(患者)の状況を把握して、対応策を考えていく-栄養教育は、まさにマーケティングの考え方(マーケティング・マインド)と通ずるものがあったんですね。」



034.gif ※PDCAサイクル
計画(Plan)、実行(Do)、評価(Check)、改善(Act)というプロセスを回すことによって、継続的な業務改善活動を推進するマネジメントサイクルのこと。現在では製造業だけでなく、あらゆる業種にこの考え方が浸透しつつある。



043.gif ご専門の「栄養教育」について、もう少し、お聞かせください。

栄養教育とは、対象者の方の状態をまず、アセスメント(現状把握・問題発見)し、カウンセリングやコーチングを盛り込んで患者さんが改善の方向に向かえるよう支援することなんです。栄養教育は、言葉としては適切ではないかも知れませんが、接客業と通じるところがあります。・・・ひとが大好き、人との出会いを大切にして、人間ってなんだろう。ひとを好きであるということがベースにないと理解できない分野だろうと思います。」


013.gif 栄養教育に関わる人には、「人好き」であることが求められるということですが、もう少しそのあたり、エピソードなどがあれば聞かせてください。

「私は、10年以上、産婦人科で管理栄養士として栄養教育・栄養指導を行ってきました。栄養教育では、(対象者や状態が様々なので)『こうあらねばならない』という絶対的な解答があるわけではありません。栄養教育にあたる管理栄養士も人間ですから、対象者との相性はもちろんありますが、偏見をもって対応することはあってはならないのです。つまり、自分の気持ちが固いとだめなんですよね。いろんな価値観を受け入れられる柔らかさが必要だと思います。栄養教育にあたる栄養士は、対象者に対しては色としてはいわば『真白』じゃなくてはならないのです。」


017.gif さて、現在、力を入れている研究活動があれば教えていただけますか?

自律神経機能※(恒常性を保つ機能)のデータを継続して取っています。具体的には、心電図のデータを数値化しています。将来的には、自律神経機能の数値が、ホルモンや食事などの生活習慣とどのように相関関係があるか、新しい知見が見いだせればいいと思っています。こうした知見を基礎として、栄養教育の臨床現場に生かしていけるのが夢です。」


027.gif @自律神経機能とは
呼吸、脈拍、血圧、体温、発汗、排尿、排便など、自分の意志で左右できない臓器や器官の働きを調整している神経のこと。




◎これからの管理栄養士に求められる力とは?

c0223443_17423119.jpg018.gif 文教大学の健康栄養学部では、「フードセラピー」というコピーで表現していますが、カラダのことだけでなく、ココロも配慮できる管理栄養士を育てることを目標にしています。長年、栄養士の現場にいらした秋吉先生の目から見て、本学のカリキュラムでこの目標は、現場レベルで求められる水準まで高められると思いますか。

「通常の管理栄養士養成課程の大学では、心理学やコミュニケーション系の科目は、独立して設けているところはあまりないんじゃないでしょうか?そういう意味では、心理学を専門にされている先生が教える科目が複数あり、十分可能だと思います。

栄養士の現場では、栄養の知識だけを提供するだけの栄養士ではなくて、その方のココロを大事にして、その方のココロが動く栄養士、そういう支援ができる栄養士が求められています。カウンセリングなどを理解した管理栄養士ですね。

一方で、そういう資質を持った管理栄養士を育てたいと思うけれども、まだまだ、現場レベルでは、予防医学ということが浸透していないのも事実です。病気の方に対してだけではなく、生活習慣病予防や食育の場で管理栄養士がますます受け入れられる社会を作っていけるかが今後の課題だと思います。」




◎恒例! わらしべの交換です。

c0223443_17503069.jpg041.gif では、最後に「わらしべ」の交換をお願いします。

まず、これは前回登場していただいた人間科学部の中村先生からの「わらしべ」で、ナイジェリア北部のソッコトという都市で作られている「ファイファイ」というマットです。

「アフリカらしい色使いですね。」


036.gif では、代わりにいただけるものは何でしょうか。

c0223443_17545686.jpg「これは兵庫県の丹波にある西山酒蔵さんの日本酒のボトルです。デザインがとってもおしゃれなので、花瓶としても使えるんです。花瓶として研究室で使おうと思っていたのですが、今回のお話をいただいて、わらしべ交換にすることにしました。食事を楽しむ上で、適度の日本酒というのもよいことなんですね。」


秋吉先生、ありがとうございました。 029.gif

次回、この「日本酒のボトル」がどんなものに化けるか、乞うご期待です。
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by bunkyo_warashibe | 2010-06-03 17:59 | 健康栄養学部